第80期事業報告書
取締役社長 要明英雄 株主の皆様へ
取締役社長 要明英雄  
 ■ 営業の概況 
 株主の皆様には、ますますご清栄のこととお喜び申しあげます。
 平素は格別のご支援を賜り厚くお礼申しあげます。
 さて、当社第80期(平成13年4月1日から平成14年3月31日まで)の決算終了にあたり、ここに営業の概況についてご報告いたします。
 当期におけるわが国経済は、IT(情報技術)産業の不振に加え、同時多発テロ事件以降の世界的な景気後退の影響を受けて輸出が大幅に落ち込み、企業業績の悪化、倒産件数の増加、失業率の上昇など、景気は一段と悪化の傾向を辿りました。
 当業界におきましては、大規模小売店舗立地法施行の影響から大型店舗の出店が激減したほか、木造住宅着工戸数の落ち込みや企業の設備投資の低迷など、商業施設分野、建材分野とも厳しい状況が続きました。
 このような状況のなかにあって当社といたしましては、商品開発に注力し環境や健康に配慮した「アペックス70」、業界初のノンレール完全フラットサッシ「ウォーキング」を順次発売いたしました。また、お客様へのサービスの充実を図るため、工務店支援サービス体制を確立するとともに、IT技術を利用した受発注システムの構築を進めてまいりました。
 しかしながら、当期の売上高は、1,116億29百万円(前期比7.6%減)にとどまり、売上原価の圧縮や経費の削減に努めましたものの利益幅を確保することができず、6億59百万円の経常損失となりました。さらに特別損失として、固定資産処分損の発生等により、9億37百万円の当期損失となり、前期に続き再び当期損失を計上するのやむなきに到りました。
 以上のような結果、誠に遺憾ではございますが、当期の配当につきましては見送らざるをえない状況となりました。
 株主の皆様のご支援をいただきながらも、ご期待にお応えすることができず、慎んで深くお詫び申しあげます。

 ■部門別概況 
住宅用アルミ建材部門
 木造住宅着工戸数が落ち込み、競争の激化から販売価格の低下が進む市場環境のなかで、業界初となる非塩ビ・表層木粉配合樹脂を採用した次世代断熱型インテリアサッシ「アペックス70」を新しく発売いたしました。また、同業他社との共同配送を、四国地区に続き中国地区でも実施し、物流経費の削減を図りました。
 エクステリアの分野におきましては、ハウスメーカー等への販売活動を強化するとともに、マンション開発業者に対する提案型営業活動を通して、マンション用門扉の販売に注力いたしました。
 しかしながら、売上高は560億64百万円(前期比3.5%減)となりました。

ビル用アルミ建材部門
 激しい過当競争が続き、再編や淘汰が進む建設業界のなかで、受注価格の改善に取り組んだ結果、緩やかながらも収益性は改善の方向を辿りました。主力商品としてはマンションや医療福祉施設向けに、下枠の段差を全くなくしたサッシ「ウォーキング」を新しく発売し、提案型の営業活動を展開いたしました。
 手摺の分野におきましては、マンション建築が盛んな首都圏を除いては、全国的に需要減退が続き価格競争が激化するなかにあって、設計段階での指名獲得に注力するとともに、改修需要に対応できる基盤の確立に努めました。
 店舗建材の分野におきましては、出店抑制の傾向が続く厳しい環境のなかで、内装建具や機械カバー等を新しく発売して商品領域を拡大するとともに、店舗以外の商品分野への参入を図りました。
 その結果、売上高は332億16百万円(前期比5.2%増)となりました。

商業施設部門
 法改正の影響で大型店舗の新規出店が大きく落ち込んだのを受け、ドラッグストアを中心にして、中小型店舗を主力とする業種への受注活動に努めるとともに、改装や増床により需要が伸びた既存店舗への受注活動に注力いたしました。
 サインの分野におきましては、市場規模が縮小傾向を辿るなかで、損害保険業界における再編関連需要の拡大に対して営業活動を展開し、一定の成果をあげることができました。
 しかしながら、売上高は189億29百万円(前期比32.0%減)にとどまる結果となりました。

形材部門他
 建材需要の衰退に伴い非建材分野での形材販売競争が激化するなかで、大口取引先を対象に生産販売システム等の構築を図るとともに、非建材分野への販路拡大に努めました。
 その結果、売上高は34億19百万円(前期比4.7%増)となりました。


 ■ 今後の取り組み 
 今後の見通しにつきましては、不良債権処理の促進から引き続き金融システム不安が懸念され、国内経済の2年連続マイナス成長も予想されます。
 当業界におきましても、住宅需要の大幅な伸びは期待し難く、設備投資の低迷や消費回復の遅れから、建材分野、商業施設分野とも極めて厳しい状況が続くことが予想されます。
 このような状況のなかで当社といたしましては、お客様に望まれる商品・サービスを総合的に提供し、「人間に快適な空間を創造する」会社を目指すとともに、一層の経営効率化に努め、全社員一丸となって業績の回復に邁進いたす所存でございます。

住宅用アルミ建材部門
 新たに住宅用パネルや建築金物の販売を行なうとともに、子会社を設立して各種建築用資材の開発や工務店販売支援システムの開発を行ない、フランチャイズ展開により工務店への支援を強化してまいります。
 エクステリアの分野におきましては、住宅建築業者やお客様への直接の販売ルートの開拓、施工付き販売等に注力いたしてまいります。

ビル用アルミ建材部門
 「ウォーキング」「自然換気システム」などの高付加価値商品の販売に重点を置く一方,OEMや商品の共通化を推進して原価の低減を図ります。また、首都圏を中心とする大都市圏での営業を強化する一方、低階層物件の販売体制見直しや選別受注等の推進によって収益の改善に努め、利益を生み出せる体質への定着を目指してまいります。
 手摺の分野におきましては、専門員を配置して加工店の生産性や品質等の向上に努め、市場の信頼にお応えすることにより販売の拡大を目指してまいります。
 店舗建材の分野におきましては、店舗開口部周辺の商品にこだわることなく、内装商品や店舗以外の商品分野への参入を図って、領域を拡大いたしてまいります。

商業施設部門
 海外調達等を行って原価の低減を図るほか、備品等の店舗設備のみならず、壁面や天井を含め、室内空間を総合的に考えた商品の規格化に取り組んでまいります。
 サインの分野におきましては、フランチャイズチェーン本部の新規開拓に努めるほか、看板資材関係以外の商品卸ルートの開拓に注力いたしてまいります。

形材部門他
 市場が縮小傾向を辿る建材分野のみにとどまることなく、機動力をより強化して、非建材分野での販路拡大に努めてまいります。

 当社を取り巻く経営環境は極めて厳しいものがございますが、生き残りをかけた激しい企業間競争のなかで選択と集中を大胆に推し進め、既成の枠を超えたより合理的な企業形態を構築して企業体力の充実を図り、株主の皆様のご信託にお応えできますよう努力いたす所存でございます。
 株主の皆様におかれましては、なにとぞ今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

 平成14年6月
取締役社長 要明英雄