第81期事業報告書
取締役社長 要明英雄 株主の皆様へ
取締役社長 要明英雄  
 ■ 営業の概況 
  株主の皆様には、ますますご清栄のこととお喜び申しあげます。
 平素は格別のご支援を賜り厚くお礼申しあげます。

 さて、当社第81期(平成14年4月1日から平成15年3月31日まで)の決算終了にあたり、ここに営業の概況についてご報告いたします。
 当期におけるわが国経済は、アジア向け輸出の拡大に牽引され緩やかに回復軌道を辿りましたが、期半ばからは、米国経済の減速に加え株価の下落や消費者マインドの悪化等、調整傾向を深めました。
 当業界におきましても、設備投資や新設住宅着工が低調なうえ個人消費も厳しい雇用環境下で振るわず、建材分野、商業施設分野ともし烈な価格競争が展開される厳しい状況が続きました。
 このような状況のなかにあって、当社といたしましては、お客様にご満足いただけるよう、質の高い商品の提供とサービス体制の向上に注力するとともに、積極的な営業展開への基礎固めとして、新たな研修制度を導入し社内レベルの引き上げを図ってまいりました。また、立山合金工業株式会社を吸収合併し、生産体制の一元化を図って生産効率を向上させ、コスト競争力の強化を進めてまいりました。
 この結果、当期の売上高は1,173億17百万円(前期比5.1%増)と前期を上回り、経常利益14億25百万円、当期利益5億5百万円を計上することができました。
 以上のような結果、黒字への転換を果たすことはできましたものの、当期の配当につきましては、前期繰越損失の補填を優先し、誠に遺憾ではございますが、見送ることとさせていただきました。
 株主の皆様のご支援をいただきながらも、ご期待にお応えすることができず、深くお詫び申しあげます。

 ■部門別概況 
住宅用アルミ建材部門
 新設住宅着工戸数が減少し着工床面積も低下するなど、厳しい環境が続き価格競争は一層激しさを加えました。このようななかで、新たな住宅建築工法の普及を目指してフランチャイズ方式による工務店支援事業を展開するとともに、寒冷地向け厚壁対応型サッシ「アペックスS」、木造住宅用ノンレール完全フラットサッシ「ウォーキング」、高断熱玄関ドア「プロシェ」、木質系複合断熱ドア「スウィートヴェール」、アルミインテリア間仕切り「スプレッツァ」を相次いで発売いたしました。
 エクステリアの分野におきましては、ハウスメーカー等への特別仕様商品の供給対応を強化したほか、バリアフリー対応「G型ウォーキングバルコニー」等を新しく発売いたしました。
 その結果、売上高は580億44百万円(前期比3.5%増)となりました。

ビル用アルミ建材部門
 建築市場の縮小が続き、着工床面積、工事額とも減少傾向を辿るなかで、安値受注を避け受注価格の改善や物件単位での利益管理に注力いたしました。また、「スウィンドウ」をはじめとする自然換気システムで提案型の営業活動を推進する一方、ノンレール完全フラットサッシ「ウォーキング」で品種追加を行い、販売促進キャンペーンを展開して知名度の向上に努めました。
 手摺の分野ではマンション建築の勢いが衰えを見せるなかで、関東地区での営業体制を強化するとともに、産学共同研究により風切り音が発生しにくい手摺格子「ノイレスPタイプ」を開発したほか、改修用アルミ手摺としては国内で初めてBL(ベターリビング)認定を取得いたしました。
 店舗建材の分野におきましては、個人消費の低迷や法改正の影響で大型ショッピングセンターの建設が激減するなか、外部用リニアモーター式自動ドアや内装建具「インフィス」を新しく発売して、中小型店舗を展開するチェーン本部を対象に営業活動を展開いたしました。
 その結果、売上高は345億47百万円(前期比4.0%増)となりました。

商業施設部門
 流通業界では、外資の参入や合従連衡が繰り返される激しい企業間競争のもと、出店経費削減により閉鎖店舗を利用しての新規出店や不要な什器の活用、複数店による共同仕入、ネットを利用しての入札など、新たな動きが加速いたしました。このような市場環境のなかで、「WK木目調ゴンドラカバー」や新型ゴンドラ「KZシリーズ」を新しく発売するとともに、ホームセンターへの売り場プランの提案や大手ドラッグストアチェーンへの営業活動を強化いたしました。
 サインの分野におきましては、金融機関の合併による特需のピークが過ぎ屋外広告需要が冷え込むなかで、大型FFシート看板の取り扱いを本格的に開始したほか、住宅、ビル部門等の取引先からの受注獲得に努めました。
 その結果、売上高は196億61百万円(前期比3.9%増)となりました。

形材部門他
 落ち込みの顕著な建材業界から重点を材料販売へと移して、提案型の営業活動を推進するとともに、訪問頻度を上げ売上の増加に努めました。
 旧立山合金工業鰍ニの合併に伴い昨年10月に新設したアロイプロダクツ部門におきましては、企画開発力や技術力の強化を図りつつ受注能力の向上や利益率の改善に努め、特殊看板、特殊車両窓枠などを手がけました。また、新しくアルミ合金ドームの構造設計を完成させ、今後の受注展開に備えて製作、施工の社内体制を整備いたしました。
 その結果、売上高は50億64百万円(前期比48.1%増)となりました。


 ■ 今後の取り組み 
 今後の見通しにつきましては、速やかな景気回復は望めず国内経済への閉塞感も現れる状況のなかで、当社といたしましては、より一層お客様に喜んでいただける商品・サービスの提供に注力してまいります。

住宅用アルミ建材部門
 今秋から業界全体として、横幅に関する寸法の体系が新しくされるのに合わせ、新寸法対応商品を発売するほか、廉価版パネルを供給することなどによりフランチャイズ加盟工務店等への支援強化を進めてまいります。
 エクステリアの分野におきましては、工事付き販売の体制強化、特定顧客向け商品についての提案型営業活動の推進、ホームセンター等への直販ルートの拡充を図ってまいります。

ビル用アルミ建材部門
 「ウォーキング」「スウィンドウ」に続く差別化商品の開発や、付加価値の高い商品の販売に注力するとともに、商品開発をも含めて低階層物件への取組み体制を見直し、収益重視の受注活動を推進して利益体質の定着化を図ってまいります。
 手摺の分野におきましては、最大の市場である関東地区において、新たな分野である低層集合住宅を対象とする営業体制を確立いたしてまいります。
 店舗建材の分野におきましては、店舗向けリニアモーター式自動ドアを福祉施設等に、また、内装建具をフランチャイズ加盟店以外の一般店舗に、それぞれ他の商品と関連付けて販売することにより販路の拡大に努めてまいります。

商業施設部門
 外資大手による大型店舗の出店増が予想されるなかで、海外からの調達比率を高めて価格競争力を強化し受注増加を図ります。また、シェアの拡大を求めて新型サウンド什器を発売するほか、ドラッグストアへの浸透を図ってまいります。
 サインの分野におきましては、市況が低迷するなかで、規格看板の需要掘り起こしを進めるとともに、流通業や飲食業向けなどへの特需看板の販売先開拓を進めてまいります。

形材部門他
 建材業界の縮小が進むなかで、形材事業部とアロイプロダクツ事業部を統合して合理化を図る一方、開発能力を高め技術力を向上させて、家電メーカーなど建材以外の分野への販路拡大を進めてまいります。

 なお当社は、険しさを増す経済環境のなかで、今日まで“選択と集中”を大胆に推し進め、昨年1月からは三協アルミニウム工業株式会社と、商品共通化や生産統合を含めた包括的な業務提携を進めてまいりました。しかしながら、業界を問わず企業の再編が相次ぐなか、単なる業務提携に留まることなく、既成の枠を超え更なる連携の強化を図ることが急務であるとの結論に達し、このほど、共同持株会社を設立し経営統合を図ることで、基本的に合意いたしました。現在、両者間で骨格作りを急いでおり、株主の皆様には、追って、合意内容をお示ししお諮りすることといたしております。
 なにとぞ、かかる事情をご賢察いただき、従前に引き続きご支援を賜りますようお願い申しあげます。

平成15年6月
取締役社長 要明英雄