気候変動への対応
三協立山グループでは、省エネ活動をはじめとする地球温暖化対策に継続的に取り組んでいます。
脱炭素に向けた取り組み
三協立山は、2021年に策定したサステナビリティビジョン2050『Life with Green Technology ~「環境技術でひらく、持続可能で豊かな暮らし」を実現する企業グループへ~』を掲げ、持続可能な社会への貢献を通じて企業価値を高めていく取り組みを進めています。
その中で、2030年度をゴールとするマテリアリティ(重要課題)の一つに「気候変動への対応」を掲げ、脱炭素社会の実現に向けて地球温暖化対策への継続的な活動を推進しています。
世界規模のリスクである気候変動問題に対し、グローバルで事業を行う当社は、グループ全体で気候変動対策に臨むことが企業責任を果たすことであると考え、海外子会社を含めたグループ全体の温室効果ガスについて、2030年度排出目標を設定し施策を推進しています。
事業活動から直接・間接的に排出される温室効果ガス(Scope1、Scope2)
2030年度までに2017年度比で50%削減を目標としています。施策としては、事業活動における省エネ施策や生産性向上施策を積んだ上で、電力のCO₂フリー化や太陽光発電の導入などを進めています。

海外の主な子会社
- STEP-G(生産工場:ドイツ、ベルギー、中国)
- Thai Metal Aluminium Co.,Ltd.
- Sankyo Tateyama Alloy (Thailand) Co., Ltd. ほか
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼や工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出
基準年である2017年度から2024年度の温室効果ガス(GHG)排出実績を図に示します。
2024年度では、2017年度比で38.5%の削減となり、削減が順調に進んでいます。
GHG排出量推移 国内/海外
GHG排出量推移 Scope1/Scope2
| ※ | 2017年度(基準年)および2024年度のデータは第三者保証を受けています |
| ※ | 数値の修正により、過去の公表値と異なる場合があります |
国内では、2024年度に新たに奈呉工場、高岡工場にCO₂フリー電力を導入しました。これまでに導入している6工場(福野・氷見・福岡・福岡西・新湊・新湊東)および本社・支店とあわせて約27千トンのCO₂削減に寄与しています。2025年度はさらに石川工場に導入することで、新たに約16千トンの削減を見込みます。また、今年度稼働予定の新湊東工場増築部では、PPA※による太陽光発電設備を設置します。海外子会社においても、2021年度よりCO₂フリー電力の導入(ドイツ)、太陽光発電設備の設置(タイ・中国)を進めています。
| ※ | PPA:Power Purchase Agreement の略。企業が自社の施設に太陽光発電設備を設置する際に、初期費用を負担せずに、PPA事業者と契約を結び、発電した電力を利用する仕組み |
CDP2024「気候変動」で「B」評価に認定
三協立山は、環境情報開示イニシアティブであるCDPが実施する調査において、2024年度の「気候変動」の部門で「B」評価に認定されました。
CDPは、ロンドンに本部を置く国際的な非政府組織(NGO)で、企業や都市の環境問題に対する取り組みを調査し、リーダーシップレベル(A、A -)、マネジメントレベル(B、B -)、認識レベル(C、C -)、情報開示レベル(D、D -)の8段階で評価しています。
事業活動の上流・下流のプロセスで排出される温室効果ガス(Scope3)
事業活動の上流・下流のプロセスで排出される「Scope3」は、グループ全体の温室効果ガス排出量の9割以上を占めています。このScope3について、2030年度までに2022年度比で25%削減を目指します。2024年度は全カテゴリーの算定を行い、Scope3排出量は約324万トン(基準年比で約20%の削減)となりました。アルミの水平リサイクルの推進や、環境負荷の低い材料調達により、排出量が低減しています。
Scope3においては、カテゴリー1のアルミ原材料に起因する排出量が全体の大部分を占めています。アルミニウムは新地金の製造に多くのエネルギーを使用しますが、アルミニウムをリサイクルする場合は、新地金から製造する場合に比べ、わずかなエネルギーで再生することができ、これがScope3の削減につながります。三協立山グループでは、これまで資源循環の考え方からリサイクル材を活用しており、さらにこれを強化するため、アルミ資源循環モデルの構築と、スクラップ溶解能力の増強を行っていきます。
当社グループの温室効果ガス排出割合(2022年度)
Scope3削減目標
Scope3内訳
| カテゴリー | 2022年度 (基準年) |
2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|---|
| 排出量 千トンCO₂ |
排出量 千トンCO₂ |
排出量 千トンCO₂ |
||
| 1 | 購入した製品・サービス | 3,896 | 3,254 | 2,905 |
| 2 | 資本財 | 32 | 32 | 40 |
| 3 | Scope1、2に含まれない燃料および エネルギー関連活動 |
50 | 45 | 45 |
| 4 | 輸送、配送(上流) | 37 | 35 | 35 |
| 5 | 事業活動から出る廃棄物 | 4 | 4 | 3 |
| 6 | 出張 | 1 | 1 | 1 |
| 7 | 雇用者の出勤 | 4 | 5 | 5 |
| 8 | リース資産(上流)※1 | - | - | - |
| 9 | 輸送、配送(下流) | - | - | 24 |
| 10 | 販売した製品の加工 | - | - | 120 |
| 11 | 販売した製品の使用 | - | - | 34 |
| 12 | 販売した製品の廃棄 | - | - | 25 |
| 13 | フランチャイズ※2 | - | - | - |
| 14 | リース資産(上流)※2 | - | - | - |
| 15 | 投資※2 | - | - | - |
| Scope3 合計 | 4,026 | 3,377 | 3,238 | |
| ※1. | Scope1・2に含む |
| ※2. | 主たる事業と関連が薄い、もしくは関連していないため算定対象外 |
WG、研修会の開催
当社グループでは、各部門の省エネ活動を推進する「省エネWG」を定期的に開催し、改善事例の共有と最新情報の展開を図っています。特にエネルギー使用量の多い押出・皮膜工場では、月次で省エネ推進委員会を開催し、現場と管理部門が一体となってエネルギー生産性の向上に取り組んでいます。また、省エネルギーセンターの講師を招いた年次研修会を国内生産工場向けに実施し、支援制度や手法に関する知識向上に努めています。
省エネ研修会
省エネルギー活動
当社は、電力使用量削減に向けた省エネルギー活動を積極的に推進しています。主な取り組みとして、設備の「待機電力」削減に注力しており、夜間・休日の非稼働時はもちろん、休憩時間や非生産時における不要な電力消費の抑制を実施しています。また、工場における省エネ対策として、産業用超音波カメラを導入し、配管や機器接続部からの圧縮空気の漏えい(エア漏れ)を可視化することで、より効率的な改善を実現しています。この超音波カメラの導入により、エア漏れの発生箇所を画像として特定できるだけでなく、漏えいによる電力損失を金額換算することが可能となり、省エネ効果の定量的な把握と迅速な対策実施につながっています。
産業用超音波カメラを導入
製品使用時におけるCO₂排出削減の貢献
三協立山グループでは、脱炭素社会の実現に向けて、環境に配慮した商品の提供を進めています。
その取り組みの一つである「製品使用時におけるCO₂排出量削減の貢献」について、断熱サッシ・ドアの使用による冷暖房のエネルギー消費低減やサイン照明の消費電力低減により、CO₂排出量の削減に貢献しています。
2024年度のCO₂排出量削減貢献量は、これら商品の販売実績より232千t-CO₂/年を見込んでおります。
| ※ | 断熱サッシ・ドアについては、国立研究開発法人建築研究所ホームページ内「平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報(住宅)」に基づき算出したエネルギー消費量の削減分を、CO₂排出係数によりCO₂排出量削減貢献量に換算した。サイン照明については、消費電力量の削減分をCO₂排出係数によりCO₂排出量削減貢献量に換算した。 |


