資源の有効活用
三協立山グループではアルミや樹脂の資源の有効活用や、梱包資材など産業廃棄物の排出抑制に取り組んでいます。
アルミニウム -リサイクルアルミの使用の促進-
三協立山は、リサイクルを主な取り組みとする「資源の有効活用」をマテリアリティの最重要項目と位置付けております。世界的に環境への負担を減らしながら経済も発展させる「サーキュラーエコノミー(経済循環)」を目指す動きが広がっており、この考えのもと、国と企業が協力して、日本国内の再生可能な資源を有効活用し、新しい価値を生み出す取り組みを進めていることが背景にあります。当社グループでも重要な事業機会と捉え、特にリサイクルアルミの使用比率を高めた低炭素商品の開発とサプライチェーン連携による使用済み製品の回収・循環モデルの確立に注力し、資源循環の可能性に挑戦することで、当社グループの成長につなげてまいります。
2023年度には、2030年度までに建材向けアルミリサイクル率80%達成という長期目標を策定しました。この目標は、2050年カーボンニュートラル実現への重要なマイルストーンとして位置付けており、リサイクルアルミの使用促進を通じてその達成に向けて積極的に取り組んでいます。
2024年度活動実績
三協立山は、原材料の調達から鋳造を自社内で行っており、使用素材の配合を自社独自に行える強みを生かして、リサイクルアルミの使用量を増やす取り組みを推進してまいりました。リサイクルアルミの投入比率を大きく高めるため、奈呉工場内においてアルミリサイクル炉の設置工事を開始しています。リサイクルアルミとなる市中からの回収強化や、溶解工程の効率化を進め、建材向けアルミリサイクル率は54.4%となりました。
❶サーキュラーパートナーズへの参画
日本は、アルミニウム地金を海外からの輸入に頼っています。一方で、市場に出た後に回収される廃材は、貴重な資源でありながらも国外流出しているという現状があります。このような環境下において、三協立山はリサイクルアルミの積極的活用によるCO₂排出量の削減に取り組むとともに、マテリアルリサイクルを通じたアルミの国内循環体制の確立を進め、サーキュラーエコノミーの実現に向けて注力しています。
さらに、経済産業省が推進する官民連携プラットフォーム「サーキュラーパートナーズ(CPs)」への参画を通じ、業界横断的な資源循環の課題解決にも取り組んでいます。
❷低炭素商品の開発とサプライチェーン連携による循環モデルの確立
JR東海グループと「東海道新幹線再生アルミ」を活用した建材を共同開発
東海旅客鉄道㈱、三協立山㈱、ジェイアール東海商事㈱は、東海道新幹線車両のアルミをリサイクルした建材「Re
ALumi T」を共同開発しました。この製品は新地金を使用する一般的なアルミ建材と比べ製造時のCO₂排出量を大幅に削減できる環境配慮型製品です。三井不動産レジデンシャル㈱の新築物件において、サッシとして初採用されました。
解体建物からアルミ建材を回収し水平リサイクルを実現するための実証事業を開始
明治安田生命保険(相)、㈱竹中工務店、三協立山㈱、㈱シンワ、㈱HARITA、㈲豊栄金属は、共同で建物解体時に生じるアルミ建材の水平リサイクル実現に向けた実証事業を開始しました。建物解体時に発生するアルミ建材の水平リサイクルにおける課題を抽出し、手法確立の検討を進めています。
セブン-イレブンの閉店・改装店舗からアルミ棚を回収する水平リサイクルの運用開始
セブン-イレブンの閉店・改装店舗からアルミ棚を回収し、新しいアルミ棚の原料の一部として製造する水平リサイクルの運用を開始いたしました。アルミ棚のみを選別して回収することで、品質が確保できる良質なアルミスクラップを調達し再使用することで、新しい店舗用什器としての品質を確保した水平リサイクルが可能となりました。
2025年度活動計画
2025年度は、アルミリサイクルロードマップに沿った市中スクラップ入手拡大により、アルミリサイクル率の向上を目指します。
産学官連携によるリサイクルの研究を進めるとともに、解体現場で発生するアルミ建材を元の建材に戻す水平リサイクルの取り組みを加速して進めます。また、お客様の使用済みアルミ製品を回収し、新たな製品の原料として活用する循環モデルの実現に取り組んでまいります。
樹脂 ー樹脂の再資源化を推進ー
プラスチックは、その優れた機能性と加工性により、私たちの生活に不可欠な素材として広く使用されています。しかしながら、海洋プラスチック問題や気候変動への対応など、地球規模での環境課題が深刻化する中、世界的な規制強化が加速度的に進んでいます。日本においてもプラスチック資源循環促進法の本格実施期を迎え、企業における具体的な取り組みが強く求められています。三協立山グループは環境との調和を経営の重要課題と位置付け、製品設計段階からリサイクル性を考慮した環境配慮型設計の導入や、バイオマス由来原料の活用、リサイクル技術の革新など、多角的なアプローチで持続可能な樹脂製品の開発・製造に取り組んでいます。
2024年度活動実績
調剤薬局向け引出しスライド仕切板について、リサイクル材への転換を検討しました。バージン材から再生材への切り替えにより、CO₂排出量を1,000kg当たり2,600㎏(65%)削減できる見込みとなっています。また、社内リサイクルシステムの確立や3R+Renewable施策の展開など、循環型社会の実現に向けた取り組みを着実に進めています。

調剤薬局向け引出しスライド仕切板 ※2025年6月発売
2025年度活動計画
2025年度は、さらなるサーキュラーエコノミー(CE)を意識したモノづくりを推進してまいります。具体的には、樹脂部材・部品のリサイクル推進や、使用済み市中リサイクル材の使用拡大に注力します。また、カーボンニュートラルへの取り組みとして、グリーン調達の推進やライフサイクル設計の導入を進めてまいります。
梱包資材 -環境負荷の低減を推進-
社会の持続的な経済成長に伴い、資源・エネルギーの需要が拡大する一方で、CO₂排出量や廃棄物の増加による地球温暖化や環境問題が深刻化しています。三協立山は、サステナビリティへの取り組みの一環として、「資源の有効活用」をマテリアリティに掲げています。この方針のもと、製品に使用する梱包資材の削減や環境に配慮した資材の使用など、具体的な施策を推進しています。梱包資材の削減・変更については、輸送時における製品品質の確保(キズ防止)やコストへの影響を考慮し、慎重に検討を重ねています。これらの取り組みは、三協立山のみならず、お取引先様における廃棄物削減にも貢献することが期待されます。三協立山グループでは、持続可能な社会の実現に向け、今後も環境負荷の低減に向けての取り組みを推進していきます。
2024年度活動実績
■玄関ドアの省梱包化
玄関ドア上下框の破損防止用の緩衝材として使用していた上下の積層ダンボールを削減
■後付樹脂内窓の省梱包化
後付樹脂内窓の上下框の外装ダンボールを削減
2025年度活動計画
2025年度は、生産工程での廃棄物抑制として、アルミ形材の押出工場から加工・組立工場への搬送時における梱包資材のリユース化を進め、廃棄物の削減を図ります。また、出荷製品における環境配慮として、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進や脱プラスチック化、再生材の活用など、環境に配慮した梱包資材の導入および置換を積極的に進めてまいります。さらに、指針の強化と標準化の一環として、環境に配慮した梱包仕様の事例を梱包要領書に体系的に追記し、全社的な標準化を推進していきます。これらの取り組みを通じて、環境負荷の低減と資源の有効活用の実現を目指してまいります。
廃棄物対策
三協立山グループでは生産工程から定常的に発生する産業廃棄物の排出量抑制に取り組んでいます。
産業廃棄物排出実績
2024年度の産業廃棄物排出量は、2023年度比4.8%減少(0.8千t減)となりました。各工場の産業廃棄物排出削減施策実施によるものです。
産業廃棄物リサイクル率は、97.6%でした。
今後も、産業廃棄物の排出量を抑制するとともに、リサイクル率の向上に取り組んでいきます。
産業廃棄物排出量と生産量原単位対前中期比の推移
※三協立山単体
産業廃棄物排出削減活動
工場から排出される廃養生シート、廃樹脂パレットなどの廃プラスチック類の有価売却や、廃塗料の削減などで、103.5t/年の産業廃棄物排出量を削減しました。
ゼロエミッション達成状況
2024年度は13工場中11工場でゼロエミッション(リサイクル率97%以上)を達成しました。
PCB管理
三協立山グループでは、PCBを含む電気工作物、安定器についてPCB廃棄物特別措置法に準拠して適正に処理、保管および管理をしています。
■PCB管理対象機器台数一覧(2025年3月31日現在)
(単位:台)
| 拠点名 | 高濃度PCB廃棄物 | 低濃度PCB | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 保管 | 保管 | 使用中 | |||
| 電気工作物 | 安定器 | 試薬 | 混入廃棄物 (分析サンプル除く) |
混入 電気工作物 |
|
| 新湊 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
| 奈呉 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 |
| 合計 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 |
※上記集計表には、使用中の電気工作物、安定器で、PCB含有有無が未確認のものについては含まれていません。


