商品開発の事例
商品開発の基本姿勢に基づいた商品開発の事例をご紹介します。

建材事業
エクステリア建材
カーポート型太陽光パネル架台
「エネジアース」
商品概要
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーとして太陽光発電の市場が拡大しています。太陽光発電の設置は、建物の屋根上や広い土地へのメガソーラーの建設が一般的ですが、普及が進むにつれ、新たな設置スペースの創出が課題となりました。
そこで、すでに屋根上に設置している場合や新たな土地の取得が難しい場合でも太陽光発電のスペースを確保し、独立して設置できるカーポート型太陽光パネル架台「エネジアース」を開発しました。
「エネジアース」は、耐積雪80cm仕様(一般地域用)と耐積雪150cm仕様(積雪地域用)をラインアップしており、これまで設置が難しかった積雪地域でも太陽光発電の設置が可能となります。一般地域から積雪地域まで幅広いエリアで再生可能エネルギーの創出に貢献してまいります。
環境・UDへの配慮ポイント
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ZEB・ZEH化の実現に貢献~駐車場スペースを使った発電~
建物の屋根上設置が困難な場合や、すでに太陽光パネルを導入済みの場合も駐車場スペースを利用し、太陽光パネルを設置することが可能です。 -
4色カラーとマルチルーフで景観・用途に合わせた対応が可能
4色から選べるカラーバリエーションとマルチルーフの設定で、景観に合わせた色選択と、サイクルポートや通路シェルターなど用途に合わせたシーン選択に対応します。

三協アルミ社
エクステリア事業部
パブリックエクステリア部
公共エクステリア課
大塚 真衣 副主事

三協アルミ社
開発統括部
商品開発一部
エクステリア商品開発二課
原 基聡 主任
チームの想いから生まれた「エネジアース」
ここ数年、太陽光発電の設置スペースとして土地を有効活用できる「ソーラーカーポート」への注目が急速に高まっています。
そんな市場のニーズに対応するため誕生したのが、物件対応品の初代「エネジアース」です。
2023年3月に竣工した「伊根町再生エネ活用型EV充電設備」では、ソーラーカーポートの導入条件として「アルミ製」と「耐積雪150cm仕様」が必須項目でしたが、当時の市場には条件を満たす商品がありませんでした。そこで、「カーポートの三協アルミ」といわれている当社にお声がけいただき、どこにもなかったアルミ構造で耐積雪150cm仕様のカーポート型太陽光パネル架台が誕生しました。
初代「エネジアース」の設置以降、予想以上の問い合わせや引合いを多方面からいただき、この商品の将来性と重要性を再認識しました。そして、「三協アルミ社のこれまで培った技術力を活かし、もっと導入しやすい商品として本格的に市場投入しなくてはならない」というエネジアースチームの想いから生まれたのが規格品となった新「エネジアース」です。
ソーラーカーポート市場は導入コストが重要視されるため、新「エネジアース」は、初代「エネジアース」に比べ、価格を約3割低減させながら使い勝手や施工性をさらに向上させました。
また、「エネジアース」はあくまで「架台」であり、単独では役目を成しません。EPC業者※1が担う太陽光発電システムと組み合わせることで、初めて価値を生み出す商品が完成します。
初代から一貫した、自社が得意とする分野に特化し、商品開発・提供をすることで、より良い形で世の中に貢献できるという理念のもと生まれた、新たな視点の商品です。
伊根町再生エネ活用型EV充電設備(京都府与謝郡)
※1EPC事業者:太陽光発電システムの設計(Engineering)・調達(Procurement)・建設(Construction)を一貫して引き受ける業者。
アルミ製、カーポートの性能へのこだわり
一般的なソーラーカーポートには樹脂製やゴム製の部品が使われており、その部品をアルミ形材に変更することで、エネジアースは不燃対応と耐久性に優れた商品となりました。
また、カーポートメーカーのノウハウを生かし、カーポートとしての高い品質を追求しました。カーポートは、駐車スペースの雨除け対策としての機能を持つため、排水性が重要になります。今回、「エネジアース」の開発で、太陽光パネル間から浸入する水の排水が課題となりました。
そこで、パネル間から浸入した水を垂木で受け、水勾配によって樋まで誘導し、樋へ流して排水する独自の排水構造を考案しました。
その結果、カーポートと同水準の高い排水性能を確保しています。

エクステリア商品開発二課
原主任
発売に向けて勉強の日々
私がまず初めに苦労したこと、それは電気の話です。
「エネジアース」自体は架台ですが、電気の話なくしては、商品開発だけでなく、取引先や協業先との打合せで用語や内容が分からず話ができないため、一からの勉強となりました。
いろいろな方と打合せや面談を重ねる中で、今まで知らなかった電気・電力分野のことを少しずつ理解できるようになり、今では社内で電気に詳しい人になっていますが、まだまだ分からないこと、知らないことだらけで、勉強の日々が続いています。
また、「エネジアース」は、パブリックエクステリア商品ですが、これまでのエクステリア商品とは提案のスキームや商流が全く異なるため、ビジネススキームを新たに構築する必要がありました。
今もパブリックエクステリア部の森 照官部長がトップセールスで日々奔走していますが、土台作りに本当に苦労している真っ最中です。その成果が少しずつ出ており、引合いが広がってきています。
販促物も、これまでのエクステリア商品と比べ、提案先やPRすべきことが大きく異なるため、どういう内容にすべきが、何をアピールするのが効果的か非常に悩まされました。
そうやって作り上げたのが今のパンフレットと動画になります。ホームページの商品紹介からぜひご覧ください。
パブリックエクステリア部 森部長(左)
公共エクステリア課 大塚副主事(右)
やっとスタートラインに立った「エネジアース」
「エネジアース」の販売により、三協アルミ社のソーラー・EVポート分野はやっとスタートラインに立ったところです。市場動向に合わせて、今後もリファインや強化を繰り返し、そう遠くない未来に三協アルミ社の新たな主力商品となってくれると思っています。
エネジアースの名前は、「エネルギー フローム ジ アース(地球からのエネルギー)」が由来です。名前の通り、地球からの力をもらい、カーボンニュートラルの実現の一翼を担い、サステナブルで豊かな暮らしに貢献する商品として、広く羽ばたかせていきたいと思います。
エネジアースチーム